ESHIKOTO

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時を横断するお酒

生酛造りや山廃仕込みといった言葉を見たり聞いたりしたことがある方は多いかと思います。前者は蒸したお米に麹と仕込み水を加えてすり潰す山卸によって、酒母(=もろみの元)の要のひとつである乳酸菌の繫殖を待つ製法。後者は山卸を文字通り廃し、麹がお米を溶かす力で乳酸菌を増やしていく製法。これらは昔ながらのもので、近代以降に一般化し現代の主流となっているのは、科学的に作られた高純度な人工の乳酸を投入する速醸と呼ばれる製法です。

速醸は安定していて高効率。対して、それ以前に確立された生酛造りや山廃仕込みは自然に委ねるものであり、蔵内の菌も取り込みながら乳酸菌を繁殖させるため、環境にも左右される大変困難かつ不安定な造り方です。

安全が確保され、コンスタントに日本酒をご提供できることは大変良いこと。近代の研究がもたらした大きな財産です。しかし、技術が発達し切った今、速醸は予定調和的になってきてしまっているとも言えます。故に、多くの醸造家がそう感じ、回帰を試みているのだと思われます。清酒はやはり、微生物が勝手に生命活動を行ってできた副産物なわけですから。

ESHIKOTOブランドに新しく加わった「えしこと」は、生酛造りを参考に生まれたものです。ただ、単に回帰をして過去の製法、プロセスにならうのではなく、全く新しい方法を取っています。テーマは「発酵の進化形態の追及」と「スタイルの更新」。道具や空調といった衛生的な環境、原料は現代のものを用いながら、乳酸菌の繫殖は自然に委ねる。旧来の名称で括ることはできない、時を横断するような方法です。

酒米は2種使用しています。そのひとつである五百万石は福井県の代表的な酒米で、硬くソリッドなのが特徴。でき上がるお酒もシャープな味わいになります。もうひとつはさかほまれという、2018年に登録されたばかりの福井の新しい品種。成長が速く、夏頃に収穫する早生(わせ)の五百万石とは違って、秋に実る晩生(おくて)のさかほまれは柔らかく、みずみずしい。趣は異なりますが、どちらも地元に根差した原料であり、造り方は先の通り、同じものが底流しています。

「ESHIKOTO AWA」と同様に「えしこと」にも完成がありませんし、数年後は全く別の製法を取っているかもしれない。答えを定めず、導き出すこともしない軌跡の一歩目をまずは楽しんでいただけたらと思います。

販売価格ESHIKOTO さかほまれ 純米大吟醸
ESHIKOTO 五百万石 純米大吟醸
ESHIKOTO さかほまれ 特別純米
ESHIKOTO 五百万石 特別純米
ESHIKOTO さかほまれ 純米大吟醸 生酒 ※季節限定商品
ESHIKOTO 五百万石 純米大吟醸 生酒 ※季節限定商品プライスリスト

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