ESHIKOTO AWA

ESHIKOTO AWA
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清酒造りの新章へ

清酒造りの歴史は1500年以上あると言われています。現在に至る日本酒の製造方法がほぼ確立されたのは江戸時代。その後、20世紀以降に進歩していった科学技術によって、安全かつ確実な日本酒造りが可能になっていきました。
日本酒造りの1タームはおよそ45日間。まずお水に酒米を浸け、蒸らし、酵母と麹菌を加えて発酵させ、糖分とアルコールを生み出し、できたもろみ(=日本酒となる前の段階)を搾る。この基本的な工程は昔から変わっていません。科学技術はこれらのプロセスの定量化、安定供給にとても役立ちました。
200年以上に渡って、福井県の永平寺町を拠点にお酒を造ってきた我々も、その恩恵を受けている一方で、ある疑問がふつふつと湧いてきました。清酒造りは連綿と続いている歴とした文化。長い歩みの中で段々と洗練されていったわけです。そんな想いの元で育んでいるのが「ESHIKOTO AWA」という、その名の通り泡酒。

これまでの日本酒造りでは、もろみの完成を恣意的に定め、発酵を止めていました。対する「ESHIKOTO AWA」は、できあがったお酒の澱(=お米や酵母、糖分などからできた固形物)を残したまま瓶に入れ、二次発酵させています。その酵母が糖を食べ、分解されていくと、次第に二酸化炭素が発生し液中に天然のガスが溜まり、それが泡になっていきます。つまり、従来は定量に基づいて発酵を止める、言い換えればゴールを設定することが常識だったのですが、それをなくしたのです。
二次発酵期間は最低でも15カ月。ESHIKOTOの臥龍棟にあるセラーや涼しい地下の貯蔵庫で、1年、2年と寝かせます。ガスは無限に溜まっていくのではなく、3~4カ月くらいで発生活動は終了しますが、活動源である酵母は死滅せず、休眠したりしながら中に留まり、長い時間をかけて生分解(=物質が無機物になること)されていきます。さらに、タンパク質の塊でもある澱が化学変化を起こしてアミノ酸になったりと、絶えず瓶の中のお酒は変化を続けます。
従来のスパークリング日本酒は、カーボネーション(=炭酸ガスの圧入)によって造られることが多くありました。しかし、二酸化炭素を添加するとえぐみが出てきてしまう上に、蓋を開けた瞬間に泡が飛んでいくため、気が抜けるのがとても早い。対して自然発酵のものはガスのもちがよく、泡の立ち方が繊細で、定量や添加では実現できない味わいの複雑さがあり、そして一本一本、それぞれに微妙な個性の差が生まれます。
「ESHIKOTO AWA」は30日というタームの中に収めることはできず、「1年、2年」というのも現時点での尺度で、明確なゴール設定はできません。それは人が造ることの先に自然による活動があるからです。言うなれば、「ESHIKOTO AWA」はいつまでも未完。不安定で不可思議な存在とも言えるかもしれませんが、それが清酒本来の姿なのだと、私たちは考えています。

販売価格AWA 2020 Extra Dry
AWA 2021 Extra Sweet
プライスリスト

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